神無き世界の布教活動~固定概念の破壊など~

皆さん、こんにちわこんばんわ。

佐倉杏子ことSaKuraです。

2023年春アニメも早いものでは6話、1クールの半分に達しているころです。ついこの間冬アニメが終わって春アニメが始まったなという感覚がありますが時の流れというものは早いですね。世間では何故かゲッターにOPが汚染された【推しの子】や遂に2クール目が始まった「水星の魔女」、社会現象にもなった鬼滅の刃のアニメ3期である「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」が話題ですね。今回はそんな話題作にも勝るであろうアニメを紹介します。(紹介とか言いながら見てる人向けの記事です)

 

 

今回、私が紹介するアニメは……

 

 

神無き世界のカミサマ活動

 

 

という作品。(リンク先はアニメ公式HP)

 

 

神無き世界のカミサマ活動 キービジュアル
  • スタッフ
  • 『神無き世界のカミサマ活動』(ヒーローズ「コミプレ」連載)原作:朱白あおい/作画:半月板損傷
  • 監督稲葉
  • スーパーバイザー末田
  • シリーズ構成・脚本あおい
  • キャラクターデザイン川佳織
  • 美術監督永吉幸樹
  • 美術設定佐藤正浩
  • 色彩設計相馬香菜
  • 撮影監督大槻綾子
  • 音響監督野崎圭一
  • 音響効果浦畑将
  • 音響制作ダックスプロダクション
  • 音楽岩崎文紀
  • 音楽制作ランティス
  • アニメーション制作studio れっと
  • 製作カミカツ製作委員会

キャスト

  • 卜部征人榎木
  • ミタマ頭明里
  • アルラル香菜
  • シルリル上坂みれ
  • ロイ藤澤
  • クレン方恵美
  • ロキ方恵美
  • ベルトラン(男)部順一
  • ベルトラン(女)富田
  • 卜部聡一朗水奨
  • アータル
  • ダキニ高橋李依
  • リシュ小松未可子
  • ガイア小清水亜美

 

神無き世界のカミサマ活動(以下:カミカツ)は「結城友奈は勇者である」や「この素晴らしい世界に祝福を!」にて脚本を担当した朱白あおい先生が原作を担当し、半月板損傷先生が作画を担当されている漫画作品である。略称は「カミカツ」である。本作は月刊ヒーローズにて2019年6月号から連載を開始し2020年11月からはわいるどヒーローズに移籍し連載している。2022年5月現在、6巻まで発売されている作品である。

あらすじ

あやしげな宗教団体「神地崇教」の教祖の息子・卜部征人は無茶な修行中に命を落とし、異世界転生した。そこは「神」や「宗教」の概念がない、征人にとって理想の世界だったが――!?(アニメ公式HP 1話あらすじ引用)

 

 

 

 

 

以下、ネタバレ注意(6話まで)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一義で面白い本編

今作カミカツの一義的な部分は恐らく「神様のいない世界で神様を立てる」ではなかろうか。1話ではこの一義的部分には辿り着かないが色々とバラ撒いているものがある。

初めに主人公である卜部征人がなぜ「神様のいない世界に行くことになったのか」これがかなり大事というかカミカツという作品において一番大事な部分だ。まず1話の最初を見るとなぜかハゲマッチョが出てきて暑苦しさを思わせる叫び声が聞こえる。この声の主が卜部征人の父であり教団「神地崇教」の教祖である卜部聡一郎だ。教団「神地崇教」は全知全能・最強と称する"ミタマ様"を神として崇めている言わば宗教団体である。卜部聡一郎は自らの息子、卜部征人を頭だけ出せる樽に詰め「産霊(むすび)の儀」という意味不明な修行に送り出したのだ。どういうものなのか、作中の会話を聞くと「3日間水中に沈め死を乗り越える」と言っているため既に意味不明である。人間は肺呼吸をして生きている生物なので水中に丸腰で3日間沈められてもただ死ぬだけである。だが宗教団体なので神様を信じていれば大丈夫だと思っているのだろう、卜部征人も必死で親父を止めようとするがサムズアップで送り出され水中に沈んでいくのであった。そして人間は死ぬ直前、様々な思い出を脳裏に浮かべる走馬灯と呼ばれるものを見ることがあるのだが征人の走馬灯は散々なものであり征人は「神も宗教に生まれ変わらせてみろよ」と神に願い、その名の通り「神も宗教もない世界」に生まれ変わるのだがここがカミカツの面白い部分である。ここから征人は生まれ変わった「神も宗教もない世界」で暮らしていくのだが実はこれ異世界ではなく地球なのだ。5話でミタマにより明かされたのだがこの「神の宗教もない世界」は地球でありかつて征人が生きていた時代から遥か未来の中で1話で征人が願った「神も宗教もない世界」がある時代にミタマが連れてきた=生まれ変わったということなのだ。これは放送当時私を含め多数の実況民が驚いたことである。異世界転生というジャンルに似ている本作だが実は異世界ではないのだ。ここが1つ目の固定概念の破壊要素だ。1話のアバンで主人公が何らかの理由で死亡し生まれ変わる、これが異世界転生のフォーマットであり今期の異世界転生作品である「転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~」もこのフォーマットを採用している。というか大抵の異世界転生と呼ばれるジャンルの作品はこのような形で始まる。そして今や沢山の異世界転生作品がアニメ化されているためこのような流れをアニメオタクが見ると「あぁ、いつものね」と無意識に思ってしまうことだろう。私も無意識にそのようなジャンルの作品として捉えていたため5話は大変衝撃だったのだ。これが意図的な構成かどうかは判断できないが「1話アバンで主人公が死亡し新しい世界で目覚める」=「異世界転生系の作品」と見てしまうちょっとした固定概念を破壊した5話での世界の真実公開パートは素晴らしいと言えるだろう。本当にちょっとしたことなのだがそのちょっとしたことで作品の見方を変えざるを得ないものだ。

 

次に新しい世界、「神も宗教もない世界」で生まれ変わった征人は終生制度というモノを見ることになる。これは国からの指示で自らの命を絶つ行為なのだがこの世界には神も宗教もないため何かに縋る、願う対象がない。この国の人間には自由意志はあれど国からの指示にはどんな指示でも従うという従属関係のようなものがある。この終生の話が出てくる前に征人はアルラルとロイというこの世界で知り合った友人と共にエロ本を買いに行くという謎のイベントをこなすのだがここでも「神も宗教もない世界」ならではの固定概念の破壊があると考える。これについては根拠がないので私の考えからの推測によるものだが恐らくある一定の神や宗教の教えというフィルターを通すことで性的知識を仕入れることがあると考える。そしてこの世界には神や宗教という存在がないため性的知識を仕入れる機会がなく抽象的な性的知識でも驚きがあるのだろう。これもある意味では固定概念の破壊である。神や宗教がないため通常あるはずの性的知識がないというモノだ。ここにカクリの村の人間と皇国の人間の差異が見られる。皇国の人間は終生という制度を受け入れるという自由意志が曖昧な人間だがカクリの人間は終生制度に疑問を持ちそれぞれに欲望や意思が見られる。それが先ほど述べた「性的知識」の部分だ。ロイもアルラルも性的知識はないが気になるという欲求を持っている。このようなちょっとした部分にカクリの人間と皇国の人間を比べるような構成になっている。

 

征人は終生のために連れて行かれたシルリルとアルラルを助けるために皇国にクレンと向かい助けるのだがその甲斐もなくシルリルもアルラルも死んでしまう。さらには征人もアッサリ殺されてしまう。征人は死ぬ直前に前の世界から唯一所持していた勾玉に「救われるべきは善人で真っ当に生きている人間」=「アルラルやシルリル達」を救うべきだと願いミタマ様を召喚する。ミタマ様の力で死んだはずのシルリルやアルラル、征人も生き返る。ミタマ様は神なので死人を生き返らせることも可能という文脈は1話以外でもあり、2話で害獣用の毒を飲んで死んだチルチルを生き返らせたり、1話でミタマ様が殺したベルトランを蘇生して女体化させる。この自由さが神様らしさを魅せている。

 

5話にてロキが終生制度に対して何も疑問に思うことなく遂行する皇国の人間と虫を対比しているのも一義的な面白さと二義的な面白さが混在している。一義的な意味での面白さとして従うだけの自由意志、欲望がない皇国の人間をロキが踏み潰そうとしたが逃げたゴキブリとの対比がまた巧いと感じる部分だ。ゴキブリという虫でさえ自らの命が危険に陥ると逃げるという描写を皇国の人間が終生制度を行った後に見せることで対比構造になっている。このようなちょっとした部分でも対比構造を演出することができるのがこの作品の強みであり構成の上手さを感じられる。

 

神無き世界のカミサマ活動 5話 
終生制度の様子         ロキがGを踏み潰そうとする様子

 

 

本作の本質的部分である「神様のいない世界で神様を立てる」は2話から行われていて最初は皇国軍に対抗するための手段として集団を作る目的で立てられている。ここで筆者はある違和感を覚えたのだ。その違和感とは「武力を持たない」「武器を生み出さない」という点だ。この辺りは人によって考え方が違うと思うが武力を持っている敵に対抗するためには武力を用いるのが普通、または多いのではないだろうか。しかし卜部征人は武力ではなくミタマ様を神様として崇める宗教組織を作ったのだ。この対策の仕方に前の世界での環境が影響していると考えられる。父親が宗教団体を営み自らも2代目教祖にされそうになっていたりこの世界に来ることになった原因でもある環境だ。非常時になると人間は普段の癖や習慣が出るときがあるが征人にとっては「宗教」がそういうモノであるということだ。だからこの世界で神様を立てて父親と同じように宗教を生み出してしまう。征人には「宗教」というモノは切っても切れないモノであり、ある種の心の拠り所なのかもしれない。子は親に似るというがそう言った意味でも征人は父親に似ている。恐らく2代目教祖となるための教育を受けてきたのであろう、大衆の扇動や勧誘の仕方が上手いのだ。ミタマ様の奇跡の一端と称し大勢の人の前でバーナム効果という誰にも当てはまることを言い、まるで心を読めるのかという認識を植え込むという手口で神という超越した存在の凄さをアピールしている。そしてある程度の人間が神という「なにかすごい存在」を凄いと感じたところで信仰することで得られるメリットを提示することでさらに引き込むというかなり詐欺師紛いのやり方をしている。実際ミタマ様を信仰することでのデメリットは特になく征人と村人のメリットが噛み合っているからこそできるwinn-winnの関係だ。村人が何に危機感を抱いているかなどを観察し正確に読み取りお互いの求めているモノへと繋げることができる、観察眼と洞察力が征人の強みだろう。

 

本作は5話にて話が大きく動くので5話から得ることができる情報が多いのだが、世界の真実公開パートやロキの企み、今後の物語の方針が見える話をしている。ここでも征人はお互いが得をする選択をしているのだ。ロキの目的は、ロキを含むアルコーンは皇国内で能力が使えなず何とかして皇帝の部屋にある機械を破壊し神に似せて作られた自分たちが本物の神になるというものであり、征人の目的は終生制度を廃止しカクリの村のみんなが平和に穏やかに過ごせる世界にすることなので互いの「皇国の一部分を破壊する」目的が一致する。

 

異世界モノのフォーマット応用

これは前述した通り「1話アバンで主人公が死亡し生まれ変わる」という流れもそうだ。実際この流れを見ると征人は異世界に転生したと思うだろう、それを逆手に取った真実公開パートは特に面白さがある。異世界転生モノと同じフォーマットで繰り広げることで無意識的に認識させ固定概念をひっくり返すのは巧みな技だ。

 

これも単純なものだが異世界モノにありがちなステータス表記がないのも異世界モノではないことに気が付くことができるポイントなのかもしれない。しかし似たような表記はある。それがミタマ様の信者数のカウント表示だ。ぱっと見ただの信者数のカウント表示だが数字を使い今どのくらいの人間に信仰されているのかを見せることで話が進みミタマ様を信仰する人が増えていく様子を可視化しているのが上手いところだ。

 

 

演出と構成で作品は無限に面白くなる

カミカツの話をするときに異常な演出と構成の話は避けて通れないだろう。

神無き世界のカミサマ活動 6話

神無き世界のカミサマ活動 4話

神無き世界のカミサマ活動 3話

神無き世界のカミサマ活動 3話

なんだこれは… たまげたなぁ…

 

本当になんなんだよって言いたくなる描写が定期的に出てくることで人気のカミカツ

何食ったらこんな改変思いつくんだよって思うんだけど本作のシリーズ構成と脚本はなんと原作者の朱白あおい先生が担当しているのである。つまり原作者がただひたすらに暴れているだけである。原作を読んでるフォロワーから教えてもらったけどサンバ衣装はないらしい。

 

…………?

 

ないんだ…………

 

なんかベルトランの扱いがやっぱり酷いよ。殺されて蘇生されたと思ったらTS、女体化してるしいきなりサンバ衣装着せられたり拘束されたりしてるしくっ殺もしてる。ベルトランの属性がTS女体化くっ殺女サンバ騎士になってる、すごい。主に情報量が。常に異常な演出を見せることで見ている人の目を離させないやり方が凄いと感じる。一義で面白い本編でも言ったが対比させるような構成や演出が光って見える。OPやEDの使い方も特殊であり5話では重苦しいシリアス背景を後ろに呑気なOPを流しているため大変シュールな絵面が出力されている。他にも各話ではOPの一部分がその回の映像に差し替えられていたりとアニメを楽しむことができる。6話ではOPとEDをアニメの始めと終わりに流さないというアニメ本来のOPとEDはアニメの始まりと終わりに流すという固定概念の破壊を見せた。EDを先に流してOPをEDの後に中盤に流すという見たこともない使い方をするのは素直に脱帽した。

また見ている人全員の度肝を抜いた実写コラ画コンバインは監督からの提案らしい。

 

 

コンバインを見ただけで例のシーンを想起させるほどの強い印象を残したのはかなり強いと感じる少なくともアニメの本編部分が面白いのは間違いないと思う。

 

キャラクター性

この作品の主要キャラは役割というか立ち位置がある。(どの作品でもある)

 

主人公である卜部征人はゲスらしさと洞察力と武力もありミタマ様を顎で使うキャラクター。

ミタマ様はぱっと見アホの子だが力を使うときはしっかりしてるし実は聡かったりと征人の手助けをしている有能なキャラクター。

ロイは稀に優しさを見せるが基本的には気持ち悪い行動と言動を取る変態的なキャラクター。

アルラルは少しスケベな心を持っているが村の人のことを考えていたりと心優しいキャラクター。

シルリルは妹思いで酒好きの人間でたまに妹思いが暴走したりロイをボコす用心棒的キャラクター。

ベルトランは元々皇国の騎士であるため武力に長けており魔獣から村を守る用心棒的キャラクター2だがたいていは原作者に遊ばれて弄られまくってるキャラクター。

 

このように整理するとある程度のバランスが取れている。

ここで上のキャラクター性を元に征人陣営(カクリ陣営)とアルコーン陣営のキャラクターの立ち位置くを比較してみる

 

征人↔ロキ

ミタマ↔ガイア

アルラル↔リシュ

シルリル↔ダキニ

ベルトラン(アータル)↔アータル(ベルトラン)

 

だいたいこんな感じになるだろうか。

ベルトランとアータルは6話にて陣営が変化したが同じ立ち位置(弄れキャラ)なので問題がない。征人とロキは宗教を作り自分の望みを叶えるキャラクター性。アルラルとリシュに関しては正直当てつけではあるが誰かに弄られたり遊ばれたりするキャラクター性。シルリルとダキニは少し似ている、誰かを弄り場を盛り上げられるキャラクター性。ダキニの場合は間接的ではあるが性的な部分に貢献しているため。ベルトランとアータルはマジで作者に何されても良いとかいう無法地帯なキャラクター性。故に常に変な格好させられたりボコボコにされている。ミタマとガイアに関してだが少し考察を含めた上での比較になる。

 

神無き世界のカミサマ活動 ミタマ

神無き世界のカミサマ活動 ガイア

 

まずはミタマとガイアのビジュアルを見比べて欲しい。どこか似た感じがしないだろうか?まぁこの時点では似た感じがする程度である。しかしミタマが何の神であるかを思い出して欲しい。4話のプールシーンにてミタマは自分のことを「大地の神」と言ってる。そしてガイアはギリシャ神話において大地の象徴である地母神である。そしてガイアのキャラクター紹介をよく見ると「信者数が少ないため、害獣を統制をしきれず…」と書いてある。4話でアータルと対峙したときにミタマは八百万の神々とその神器を召喚するという規格外のことをやってのけたが八百万の神々はミタマの信者数を見て帰っていくという行動を見せた。このような共通部分からミタマとガイアは似て非なる存在と考えたためこのような対比とした。

 

まとめ

少なくとも自分はカミカツというアニメは他のアニメよりは予算が少ないアニメの部類だな、と思う。だがカミカツという作品はそんなことを枷にせず独自のやり方としてOPとEDの使い方、実写の導入、異常な演出を使うことで他のアニメを頭一つ抜いている。演出と構成、OPEDというどの作品にも共通する部分を工夫し違いを生むことで頭一つ抜けたアニメに仕立て上げるというアニメの作り方がこのアニメの強みであり特徴である。

他にも主人公の卜部征人役の榎木淳弥は2023年冬アニメで話題になった「冰剣の魔術師が世界を統べる」の主人公レイ・ホワイト役を、2022年秋アニメの農業アニメ「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」の主人公アル・ウェイン役を演じているため面白いという部分がある。そして何故か榎木淳弥が主人公を担当しているとアニメが異常な絵面を見せてきて面白くなるというジンクスが実況民の中で生まれている。

 

是非とも流行ってほしいアニメである。

自分はBlu-ray買うことを決意して1巻予約した。今季はカミカツとバディゴルが覇権アニメである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今期は

 

神無きカミサマ活動

BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

江戸前エルフ

アリス・ギア・アイギス Expansion

Opus.COLORs

おとなりに銀河

東京ミュウミュウ にゅ~♡

 

がおすすめアニメです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

見てください!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

(リンク先はアニメ公式HP)

ここまで駄文を読んで頂きありがとうございました。